【いっただっきま~す ♪】女の子は一度も言葉を発したことがなく、 笑顔を魅せたこともありませんでした。 | Love & Happy 恋人や家族大切な人と幸せに

記事の詳細

高校時代オムライスの専門店で、
アルバイトをしていて
キッチン(調理補助)を担当していました。

ところが オーナーさんがおでかけ好きで、
ちょいちょいお店を抜けだすこともあり
必要に迫られ先輩社員さんと
一緒になって作っているうちに、
あれよあれよという間に上達。

気がつけば、すべてのメニューが
スイスイ作れるようになっていました。

おかげで高校を卒業する頃には、
フランチャイズの本部から
「お店を出しませんか?」
と、お声がけいただけるまでになっていました。

結局、料理の道へは進まなかったのですが、
そんな腕を活かせないかと考えていたときに、
シェフをしている友人からお声がけがあり、
お互いのスケジュールがあったときにだけ活動する
ゆる~い料理創作ユニット

「ケータリング・ヒーローズ」
を、はじめました。

昨日は、久しぶりに活動する機会に恵まれ、
僕のパートナーも加わって3人で、
福祉施設へとおじゃましました。

今回は、最近入所してきた女の子のリクエストで、
「オムライス」を作ることになっていて
人づてに、僕へと白羽の矢が立ったのです。

女の子は事情は詳しく書けませんが、
心に傷を負っていて施設に来てから、
一度も言葉を発したことがなく、
笑顔を魅せたこともありませんでした。

職員さんたちが、 話せるようにと
笑顔になれるようにと
あれこれやってみるのですが、
どれも、うまくいきません。

そんなある日。
施設の本棚にあった料理の本を、
ひとり手に取り時間を忘れて、
ニコニコしながら眺めていることに、
職員さんが、気づきました。

そこは、オムライスのページでした。

その後も手に取り、 眺めているのは、
いつも、オムライスのページでした。

「ひょっとして、オムライスが大好きなのかもしれない。」
そう思った職員さんが、彼女に
今度ココで、料理のイベントをやるんだけど、
食べたいものがあったら、なんでも好きなモノ書いてね。
と伝えて、アンケートを手渡しました。

すると数日後、 返ってきたアンケートには、やっぱり
「おむらいす」
と、書いてありました。

これで、イベントの料理は、
「オムライス」に決定です。

当日は、地域の方も一緒になって、
ワイワイガヤガヤ言いながら作る
なんともにぎやかな会場。

最初に、僕とシェフの友人が、
美味しく作るコツを交えながらお手本を作り
それをマネして、みんなが作っていくというスタイルです。

僕ら3人は、リクエストをくれた女の子と、
一緒のグループになりました。

「はじめまして。」
と、みんなであいさつし オムライスを、僕が担当。
スープを、シェフの友人が担当。
サラダを、僕のパートナーと女の子で、
それぞれ担当することにしました。

でも、作る前から、 女の子がニコニコしていて、
なんだか愉しそうだったので
「きっと、料理が好きなのかもしれないなぁ。」
と思った僕らは、
それぞれに担当することになったとはいえ、
女の子にもできることは、じゃんじゃん任せていって
できるだけ出番を増やし、
中心になってもらえるようにしていきました。

そうして

オムライス

スープ

サラダ

それぞれが、完成。

仕上げにオムライスのうえに、
ケチャップをかけようとすると、
僕の服を、女の子が引っ張っています。

「これのことかな?」
ケチャップを指さすと

「うん。」
と、うなずきます。

「じゃあ、お願いね。」
ケチャップを手渡し、
ステップのうえに乗っかると
4人それぞれのオムライスのうえに、
ケチャップで

❤ (ハート)を ゆ~っくり
気持ちを込めて、 ひとつひとつ
描いていってくれました。

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その様子を側で観ていた職員さんが、
「ありがとうってことなのかな?」
そう尋ねると、女の子は、
「うん。」
と、うなずいて

りんごのように、 真っ赤になってしまいました。

そして、 ちょうどハートを描き終えた頃には、
他のグループのみなさんも

オムライス

スープ

サラダ

それぞれが、完成。

みんなでなかよく
「いっただっきま~す ♪ 」
の声を響かせ、アッツアツをいただきます。

僕らのテーブルで なんとも幸せそうに
オムライスを食べている女の子は
実にいい笑顔を魅せてくれています。

思わずみとれて、 手を止めてしまうほどです。

その様子を眺めながら、3人で
「なんか、いいよね。」
と言いながら食べるオムライスは、
今までに食べた どんなオムライスよりも
格別でした。

片付けが終わり
帰る前にごあいさつをと思って、
職員さんのもとを訪ねたとき、
僕らをみつけた女の子が、
びゅ~んと駆け寄って来てくれて
職員さんの足にしがみついて隠れながら、

「バイバイ 」
と、手を振ってくれました。

そのお顔にも笑顔があふれていて、
彼女のなかで、 「なにか」が変わったのかもしれないなぁ。」
と、感じました。

職員さんは、
「みなさんのおかげ」
と言ってくださいましたが、 僕は、美味しいもののチカラ。

「オムライスのチカラじゃないかなぁ。」
と、思っています。

きっと女の子のママやパパが、
いつも作ってくれていたり、
どこかへ食べに連れて行ってくれたときの
思い出の一品だったのかもしれませんね。

♪:*:・・:*:・♪・:*:・・:*:・♪:*:・・:*:・♪

大好きな料理と大好きなオムライスを
笑顔でみんなと一緒に作る機会に恵まれ、
心を閉ざしていた女の子の、心の扉を開けてくれる
キッカケになったのでしょうね!!

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