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小さいからよく分かっていないだろうと思っていたけど、娘はずっと自分を責めていた。その事に気付かない自分が恥ずかしかった。
娘がまだ2歳の時私は離婚を経験した。
相手が私を精神的に追い詰めたり、それがもとで身体を壊したからだった。
私が寝込むと娘は面倒を見てくれる人がいなかった。
私は両親がいないし、近くに住む相手の親は自分達の自由時間を過ごす事に忙しく孫に関心がなかった。
ある冬の日、私は過労で熱を出して寝込んでいた。
保育園に送って行って欲しかったけど叶わず、娘は家にいた。
当時の夫が面倒を見ることになったから。
ふと寝室で目を覚ますと、隣のリビングが妙に静かな事に気が付いた。
よろよろと行ってみると、ヒーターの前で娘は静かに遊んでいた。
面倒を見ているはずの夫は炬燵で眠っていた。
どれくらい相手をされていないか分からなかったけど、私が近づいて話し掛けるとにっこり笑った。
そうして少し会話していると、夫が起きだして寝室へ行って寝てしまった。
テーブルには全然手が付けられていないお弁当。
そう、私がいなければ娘は世話をされる事が無い事にようやく気が付いた。
「ママ。」
にこにこ笑って遊ぼうと言う娘を見ながら、別れると決めたのだった。
離婚までにはいろいろあったけど、私はこれで少し気持ちも楽になると思っていた。
別居して初めて二人っきりになったその夜、娘は中々眠らず夜泣きをした。
どうしたか尋ねた私に娘は言った。
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「あのね、私がねパパのお部屋に入ったから悪いの。パパの大事な物に触りたいって言ったから。」
私は驚いていた。
だってこんなに小さいのに離婚の空気を感じているのだと。
そして最後に娘は絞り出すように言った。
「だから、パパは隠れちゃったの。帰ってこないの。」
そこまで言うとぽろぽろ涙をこぼした。
私はその時胸が潰れる思いだった。
娘は自分を責めていたのだと。
小さいからよく分かっていないだろうと思っていた自分が恥ずかしかった。
私は娘を抱きしめて、あなたのせいじゃないと泣いた。
どんな親であっても、子供にしてみたら世界で唯一の存在なのかもしれないと思った。
だからずっと抱きしめて、娘が泣き疲れて眠るまでそうしていた。
小さな胸を痛めるその姿をしっかり焼き付けて。
その夜から二人で暮らす日々は決して楽ではなかったけど、思い出を作るためにいろいろな所へ出掛けた。
寂しくない様にと、出来るだけ一緒にいて一緒の事を楽しんだりした。
笑顔で楽しそうにしている娘は私の宝物だった。
でも不安はあった。
本当は寂しいんじゃないかな、無理しているんじゃないかな。
そんな風にずっと思っていた。
そんなある日私は風邪を引いた。
炬燵で横になっていると、娘は冷蔵庫の所へ行った。
そして戻って来た手に氷枕が。
ちゃんとタオルにくるんでくれて、
「はい。ママどうぞ。」
「寒くない?私のタオル貸してあげる。」
そしてトントンと私を寝かしつけ始めた。
この子の中に私がちゃんと居る。
そう感じた時、私は泣いていた。
娘がその涙をティッシュで拭ってくれて余計泣けた。
離婚した夜の泣いていた二人は、今はもういない。
娘は今小学生。
夕飯の支度を手伝うお姉さんになった。
平気で私にダメ出しもする。
でもあの頃と変わらない事が一つある。
涙もろくなった私の涙を相変わらず拭いてくれる事。
いろんな事があったけど、
きっとこれからも娘と一緒に世界を楽しんで行ける。
引用元・画像:http://koarubiyori.jp/mama/taiken/6478
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