【幸せは手の届く範囲にある】パパは出張中に事故に会い、帰らぬ人となってしまった。でも、娘に何度も説明はしたけれど、娘は理解してくれない。 | Love & Happy 恋人や家族大切な人と幸せに

記事の詳細

夕飯の支度をしていると、視界の隅で、
5歳になる娘の幸恵が カレンダーの日付の25日を
ペンで丸く囲っているのが見えた。

椅子を土台にし、必至に手を伸しながら
丸を付ける娘の姿を見ながら私は、

「サッちゃん、どうしたの?クリスマスだから?」
と質問をした。

「そう!クリスマス!!だってパパが帰ってくるんだもん。

サチ、サンタさんにお手紙書かなくちゃ。
ねぇママ、書いたらちゃんとサンタさんに渡してよね。」
と何だか忙しそうにしていた。

クリスマスは、1週間後。
出張中の父の帰りを幸恵は待ちわびている。

何度も説明はしたけれど、娘は理解してくれない。
私の夫は、もう既に亡くなっていることを。

夫は先月、出張中に事故に会い、帰らぬ人となってしまった。

娘は、出張中だから家にいないとしか理解してくれなかった。

出張は理解できるのに、なぜ死は理解出来ないのか・・・
私には分からなかった。

私は娘の前で、最愛の夫を失った悲しみを
顔に出さないように気を付けていた。

もしかしたら、それが理由なのかもしれない。

私が今の夫と出会ったのは、大学の映画同好会であった。

その頃は、お互いにお互いを意識しているなんてこともなく、
特に話をした記憶もない。

やがて社会人となり、休日に1人で映画館に出かけると、
偶然、彼に出会った。

彼に声を掛けられたとき、私は彼が誰なのか直ぐには、
わからなかった。

それでも「お茶でもして行かないか?」
という彼の社交辞令に私は合わせることにした。

意外にも、話は、先程の映画の批判で盛り上がってしまった。

その日の帰り道、私は、
彼から勧められた映画を1本レンタルした。

私は、一生忘れられない作品に出会うことになった。

それから彼とは、連絡を取る機会が増え、
週末には、良く二人で映画館へ行った。

映画が終わった後は毎回、
感想の言い合いで遅くまで話し込んでいた。

私は気づいた事が2つあった。
彼が、私の観た映画を、すべて観ていたこと。

彼と映画を見るようになってから、
つまらない映画に出会っていないこと。

彼とは自然と付き合うようになり、
プロポーズされるまでに余り時間はかからなかった。

彼は言った。

スポンサーリンク

「幸せは手の届く範囲にある。」

そう言って、私の手を握り、
「結婚しよう」と言った。

私は、「はい。」 と一言で答えた。

988713_222915657875551_1340156494_n1 - コピー

手紙を書き終えた幸恵が私に、
「ママは見ちゃだめだからね。」
といいながら真面目な顔で手紙を手渡した。

私は「わかりました。任せて下さいよ。」
と言いながら娘の頭を撫でた。
幸恵がテレビに夢中になっている間に
手紙の内容を確認しプレゼントを買いに行こうと思っていた。

「お父さんと一緒に過ごせますように」
みたいな内容が書かれていないか正直、すごく不安だった。
私は、緊張しながらも手紙に目を通した。

『サンタさんへ、さいきん、ママに、げんきがないの。
サチがねると、ママいつも、ないてるの。
パパが、かえれないところにシュッチョウだから。

パパにもうあえない。さみしいけど、サチ、がまんする。
でもママは、がまんできない。
クリスマスだけでも、ママがパパにあえますように
おねがいします。

パパがいるときは、サチねたふりします。』

私は、ヤカンが沸騰する音で我に返った。
その音で、幸恵が私を見て、

「ママどうしたの?何で泣いてるの?お腹痛いの?」
と言い寄って来た。

私は、
「ううん、どこも痛くない。今、サッちゃんが嫌いな玉ねぎを
切っていたの」と言った。

幸恵は、
「あっママ、サチ、玉ねぎやだ。今日、お腹痛いの
やだよ。やだよ。」
と駄々をこねていた。

私は、幸恵を抱きしめながら、

「ねぇサッちゃん。映画でも見に行こうか?」
と呟いた。

「行く行く!サチお腹治った。映画行く!」
と幸恵が答えた。

玄関を開けると冬の寒気が室内に入ってきた。
私はその空気を吸い込むとなぜか気持ちが良かった。

隣で、幸恵が靴を履きながら
「サチ、死んじゃいそう。」
と手袋をした手を合わせながら震えていた。

「名前は、幸恵にしよう」
夫が名づけた。
「人々に幸せを恵みますように。」

私は靴が履けずにもたついている幸恵を
「サッちゃん、はやく、はやく。」
と急かした。

どんな映画がいいだろう。
私は、町のイルミネーションを見ながら 昔を思い出し、
色々と考えていた。

すると幸恵が、
「ママなんか、楽しそう。なんで笑っているの? 」
と質問をしてきた。

私が、「秘密だよー」
と答えると

「何それー。でもサチも何だか楽しい。」
と娘は答えた。

私は、早く映画館に行きたくなり
「サッちゃん、走ろうか。」
と幸恵の手を引っ張った。

幸恵は、
「うん!走る!」
と言いながら私の手を強く握った。

私は思った。

幸せは手の届く範囲にある・・・
と・・・

引用元:http://mixi.jp/

♪:*:・・:*:・♪・:*:・・:*:・♪:*:・・:*:・♪

幸せは手の届く所にあるんですよね。

直ぐ近くにあっても
幸せに気が付かない事って多いのかも
しれませんね。

スポンサーリンク

関連記事

人気ページランキング

ページ上部へ戻る