すっと女性の後ろに行き
食紅で真っ赤な飴の大きな一欠片を口から出し、
女性の襟足から選り抜きされた
浴衣の中へ落とし入れた。
一瞬だったので一点だったけど、
ハッキリと浴衣に赤いシミがつくのが見えた。
溶けたらもっと大きなシミが広がるのは目に見えてる。
そして浴衣の性質上
漂白剤なんか使えないし、
もうあの浴衣はダメになるのも容易に想像がついた。
追いかけようと思ったけど、
二人は流れのある人混みに紛れて追いつけなかった。
木陰に戻ると飴男たちは
「お前マジでやる?」
「ウケるわー」
とバカ笑いしていた。
その後バカ笑いしながら冗談混じりに
責任の押し付け合いをしていたけど
自分たちは恋人もおらずボッチなのに、
あいつらはカップルで幸せそう。
多少嫌な目にあっても
それでイーブンという、
要は幸せそうに笑っていたから
懲らしめてやろうという
理解できないような理由で
あんな取り返しのつかない嫌がらせをしたらしい。
あまりに腹がたったので、