父が突然七くなった。
父の行く先行く先を
うちの猫のみぃは
ついていく猫だった。
「いつも俺の後を
ついてくるんだぞ。
俺の護衛なんだ。」
と少し自慢げに言う
父のその言葉に、
特に信じるも信じないも、
ふぅ~んですましていた。
父が、七くなり
仏様になり
自宅に帰ってきた。
手を組み
布団に寝ている父。
すると、
人見知りのみぃが
私達の前を通り、
父の布団の中に入った。
もう冷たい父の横に
寄り添って寝ていた。
みぃ冷たいでしょう・・・。
その光景を見て
ものすごく涙がでた。
猫にも分かるのかな。
お別れだってこと。
父が棺桶に入った夜。
家族だけの最後の夜。
棺桶の上にみぃは乗り、
一生懸命
父の顔の見える扉を
開けようとしていた。
砂を掘るように
一生懸命
開けようとしていた。
母と私はそれをとめなかった。
本当に一晩中
みぃは必タヒだったのだ。
私達は泣いた。
猫にも最後と分かるのだ。
まだ私達は信じられなかった。
父が骨になった日。
もう一生父の顔を
見れなくなったあの日。