居なかったら、
私は祖母の呼ぶ声で
犬と一緒にあの小舟に乗っていたんだろう
祖母には申し訳ないことをしたと思う
祖母のことはけして嫌いじゃなかった
けれど祖母は同居した家族が、
私のことを好ましく思っていないことは
知ってたから、
会いたいなんて我儘は言わなかった
祖母は苦労してきたことも知ってたのに、
どこかで呼ばれていることを解ってて
会いに行かなかったんだ
七くなる前はもう痴呆も入っていて、
私のことなんて忘れていると思ってた
最後の最後に、
そうじゃないと解って、
思い出すと胸が詰まる