「○○、
今度どこかいこうか?」
僕はすごくいやな予感に
襲われた。
「そうだね。
どこいこうか?
久しぶりに
運動できるところもいいね。
そうだ、
前にすごく楽しかった
スケートに行こうよ」
「それは無理かなあ。
今日、動いていて
とっても疲れたし」
「そう?
じゃあ、どこにいこうか。
みんなで食べにいって
楽しかった、
あの洋食屋さんは?」
嫌な予感は
どんどんと膨れ上がり、
何とかつなぎとめようとする僕。
なぜか僕の視点は、
10歳頃の自分に戻っている。
子供の頃のように、
母に抱き付いて話している。
(今はとてもじゃないけど
そういうことはしません)
「ねえ、○○って
とっても可愛いね」
と孫の話をする母。
「車の中でもすやすや
寝ていてね。
あ、そうだ、●●も寝ていた」
○○は孫、
●●は今18歳の甥だ。
この甥のことも
かなり可愛がっていた。
「大丈夫かな。
体がね、がっくんがっくんと、
こうやって揺れていたんだ」
体をかくかくと揺する母。
今思えば
動きが妙におかしい。
そのときは普通に見ていた。
「あのときそれが
気になっていて、
大丈夫かなって
思っていたんだ。
疲れたんだろうなって」
どきりとした。
「あのとき?」