結果的には○○と母は
意識が戻り、
○○は大きな怪我をしたけど、
その後も順調に育つ。
母もかなり危なかったが、
今はもう元気に過ごしている。
僕はあのときの、
若々しい母と会ったことを
誰にも話していない。
あのときの母。
優しい、10歳くらいの僕を
愛情たっぷりに
見つめてくれる母の顔。
自分が事故に遭っている
というのに、
僕の前に霊となって現れ、
その現れ方も
洗濯物をたたむ姿で、
仕事着で、言う言葉も
人の心配ばかり。
おじちゃんと●●は
残念だったけど、
母と○○だけでも
生き残って良かった。
あの時、
母はお別れを言いに
きたのかもしれない。
でも、今生の別れに
ならないで良かった。
今も
あのときのことを思い出す。
不思議と怖くなかった。
大事な事柄なのだと、
強くそのときに思っていた。
悲しい、
もう会えないかもしれない。
だから、全部覚えないと。