七くなった人は
あの婆さんだった。
驚きつつも、
『そうか、七くなったのか』
ぐらいにしか思っていなかった。
総式の喪主は
婆さんの弟がおこなっていて、
どうやら婆さんは
ずっと独身らしかった。
式後改めて
喪主の人に会いにいくと、
婆さんの弟は
俺をみて驚愕し、また
「○○さん」
と間違えられた。
七くなった婆さんにも
そう言われたことを教えると、
「いつ会ったのだ」と聞かれ、
前の総式で会い、
食事やら散歩したことを
話した。
そうしたら
弟の爺さんが泣き出して、
「少し待っていろ」と言う。
しばらくして
爺さんが
写真を持ってきた。
その写真には
俺が写っていた。
写真は白黒で
かなりぼろぼろであったが、
ゲートルをまいて
国民服を着た俺が立っていた。
そして隣には
十代後半に見える女性がいた。
良家のお嬢さんに見える。
爺さんは話してくれた。